華やかな奈良の都で、国人は大仏造営の作業に打ちこんでいた。<br />ともに汗を流す仲間たちと友情を築いた。<br />短き命を燃やす娘と、逢瀬を重ねた。<br />薬草の知識で病める人びとを救い、日々を詩に詠む。<br />彼は、確かな成長を遂げていた。<br />数え切れぬほどの無名の男たちによって、鉱石に命が吹き込まれ、大仏は遂に完成した。<br />そして、役目を終えた国人は――。<br />静かな感動に包まれる、完結篇。<br />