十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。<br />しかし彼の晩年はまったく孤独であった。<br />人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。<br />彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。<br />そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。<br />――自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。<br />