茂吉の短歌は素朴なリアリズムではけっして理解できない。<br />その本質は大胆な造語、文法からの逸脱、日常がそのまま非日常と化してしまう異様な写生術にこそある。<br />にもかかわらず、代表作「死にたまふ母」が現代国語の定番教材となったのはなぜか。<br />茂吉ワールドの謎を、教科書的鑑賞から遠く離れて、平易かつ精緻に解き明かす。<br />