海峡で消息を絶ったのは、弟に船長を任せた船だった。<br />乗組員は全て死亡したと聞く。<br />遭難の原因は不明。<br />遺族を弔問するため旅に出た長尾の視界に、男たちの影がちらつき始める。<br />やがて彼は愛する女と共にある陰謀に飲み込まれてゆくのだった。<br />歳月を費やしようやく向かいあえた男女を、圧し潰そうとする‘国家’。<br />運命の夜、閃光が海を裂き、人びとの横顔をくっきりと照らし出す。<br />