もう無邪気ではいられないけれど、大人にもなりきれていない。<br />そんな中途半端な年頃には、恋との距離も微妙になる。<br />はじまりかけた恋への期待に、苦い記憶がそっと忍び込んでくる。<br />心が触れ合ったと感じた瞬間に、哀しい予感が静かに満ちてくる。<br />たのしさやときめきの裏側にある、ものさびしさとやるせなさをしみじみ描く。<br />恋愛小説の達人ならではの、心に優しく沁みる佳品9篇。<br />