北海道の小さな村を郵便配達車でめぐる女。<br />川のほとりの木造家屋に「フランシス」とともに暮らす男。<br />小麦畑を撫でる風、結晶のまま落ちてくる雪、凍土の下を流れる水、黒曜石に刻まれた太古の記憶、からだをふれあうことでしかもたらされない安息と畏れ。<br />――五官のすべてがひらかれてゆくような深く鮮やかな恋愛小説。<br />