日本美術史に燦然と輝く芸術家十人が、血の通った人間として甦る――。<br />新進気鋭の快慶の評判に心乱される運慶。<br />命を懸けて、秀吉と対峙する千利休。<br />将軍義教に憎まれ、虐げられる世阿弥。<br />将軍家、公卿、富商の間を巧みに渡り歩く光悦。<br />栄華を極めながらも、滲み出る不安、嫉妬、苛立ち、そして虚しさ――美を追い求める者たちが煩悩に囚われる禍々しい姿を描く、異色の歴史短編小説十編。<br />