京都・祇王寺の庵主として静かに暮す智蓮尼は、12歳で花柳界に売られ、愛のあかしに小指を切ってみせるほどの激しい気性をもっていた。<br />赤坂の‘千竜’としてその艶名をうたわれ、男とのことで数度にわたって新聞を騒がせたのち40歳で得度したのだった……。<br />すさまじいまでの女の宿業をにないながら、本能のままに生命を燃焼させた女の波乱の半生を、大胆なタッチで描いた長編。<br />