宗像時子は父が遺した古アパート、扇荘の管理人をしている。<br />扇荘には様々な事情を抱えた人たちが住んでおり、彼女はときには厳しく、ときには優しく、彼らと接していた。<br />ある日、新たな入居者が現れた。<br />その名は有馬生馬。<br />ちょっと古風な好青年だった。<br />二度の辛い別離を経験し、恋をあきらめていた時子は、有馬のまっすぐな性格にひかれてゆく。<br />暖かで、どこか懐かしい恋愛長篇。<br />