ぼくは何も考えてない。<br />ぼくは、何も何もできない。<br />頑張って、モールス信号を覚えたって、まだ、空は燃えている――。<br />終戦の日の朝、19歳のぼくは東京から故郷・広島へ向かう。<br />通信兵としての任務は戦場の過酷さからは程遠く、故郷の悲劇からも断絶され、ただ虚しく時代に流されて生きるばかりだった。<br />淡々と、だがありありと「あの戦争」が蘇る。<br />広島出身の著者が挑んだ入魂の物語。<br />