むかし写真誌のレイアウター、今は文筆業のおれは、ふと手にした古い雑誌の記事に惹きつけられる。<br />その二人組は愛してやまないアルバムと一番好きな曲が自分と一致し、片割れはかつてのおれと同じくダブル・ベース弾きだった。<br />彼女たち=ソラシドの断片を掻き集め、おれは紡いでゆく――。<br />クラフト・エヴィング商會の物語作者が描く、失われたものの小説。<br />