西田枝美子は「北陽放送」の看板アナウンサー。<br />「ミス北陽」と謳われた美人である。<br />その枝美子も、今年で三十四歳。<br />冷たく澱んだ北陸の冬は、身辺にも迫ってきた。<br />ラジオへの転属をほのめかされ、孤独を味わう日々。<br />が、そこへ一人の男が現れた。<br />六歳年下のプロ野球選手の志村は、若く荒々しく甘美な情熱で枝美子を虜にする。<br />その冬の終わり、男は枝美子の希望そのものであった。<br />