農奴解放前後の、古い貴族的文化と新しい民主的文化の思想的相剋を描き、そこに新時代への曙光を見いださんとしたロシア文学の古典。<br />著者は、若き主人公バザーロフに‘ニヒリスト’なる新語を与えて嵐のような反響をまきおこしたが、いっさいの古い道徳、宗教を否定し、破壊を建設の第一歩とするこのバザーロフの中に、当時の急進的インテリゲンチャの姿が芸術的に定着されている。<br />