十数年ぶりに帰郷した男が木橋を渡る。<br />男は結婚当初、身重の妻を伴って東京を追われるように故郷に逃げ帰った。<br />生活の術を失った男の辛い日々とひと時の甘い想い――一つの木橋のうちに時の足音を聞き、若き日の生への不安と苛立ちを抒情的に描く。<br />表題作ほか10篇収録。<br />