渡辺儀助、75歳。<br />大学教授の職を辞し10年。<br />愛妻にも先立たれ、余生を勘定しつつ、ひとり悠々自適の生活を営んでいる。<br />料理にこだわり、晩酌を楽しみ、ときには酒場にも足を運ぶ。<br />ある日、パソコン通信の画面にメッセージが流れる。<br />「敵です。<br />皆が逃げはじめています―」。<br />「敵」とは何者か。<br />いつ、どのようにしてやってくるのか…。<br />意識の深層を残酷なまでに描写する傑作長編小説。<br />