現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。<br />すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。<br />富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意──。<br />出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。<br />すべての心に希望が灯る傑作短編集。<br />