敗戦とともに、お国のための「任務」は「犯罪行為」とされた。<br />国家による戦犯追及。<br />妻子とともに過ごす心安らかな日々も長くは続かなかった。<br />守田はふたたび逃亡生活を余儀なくされる。<br />いったい自分は何のために戦ってきたのか。<br />自分は国に裏切られたのか。<br />一方、男の脳裏からは、香港憲兵隊時代に英国民間人を拷問、死に至らしめた忌まわしい記憶が片時も離れることはなかったが……。<br />