うちに帰りたい。<br />切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。<br />職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。<br />微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。<br />そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。<br />それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇。<br />