昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。<br />一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。<br />あなたの奥さまは、私の妻なんです――。<br />お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が、突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。<br />あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。<br />切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。<br />