幼なじみの‘よっちゃん’は、会う度に違った。<br />私立の詰め襟中学生、暴走族の高校生、恋する浪人生。<br />でもその内面はいつも温かで……(「二十二時」)。<br />子供の頃、雪の積もった帰り道を歩いた。<br />方向感覚を失って、‘遠く’という‘悲しく寂しい場所’に迷い込んでしまった(「十七時」)。<br />人生のそれぞれの風景を鮮やかに切り取った、私小説の味わいを残す、切なく懐かしい二十四の記憶。<br />