風に揺れる枝垂れ柳が美しい京都の高瀬川で、少年が自殺した。<br />白衣白袴という異様な姿で。<br />死の背景には、旧家に伝わる謎の儀式があった(「はかぼんさん」)。<br />身を持ち崩した一人の男を救ったのは、海辺の漂着物だった(「夜神、または阿神吽神」)。<br />緑豊かな信州に嫁いだ女性。<br />夜半、婚家に「鬼」が訪れる――(「鬼宿」)。<br />各地を訪ね歩いて出逢った、背筋が凍り、心を柔らかく溶かす奇譚集。<br />