日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。<br />神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然‘前進’の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。<br />少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。<br />両隊を対比して、自然と人間の闘いを迫真の筆で描く長編小説。<br />