「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。<br />あなたが盗っていったものは、私のすべて」――。<br />自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。<br />しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった……。<br />表題作のほか、「最後の花束」「脱出」など、怖くて意外な結末が詰まった全10編。<br />デビュー当時から直木賞受賞第一作まで、乃南アサの幅広い作風が楽しめる文庫オリジナル短編集。<br />