船場に嫁いだ多加は頼りない夫を立ててよく働くが、夫は寄席道楽に耽って店を潰す。<br />いっそ道楽を本業にという多加の勧めで場末の寄席を買った夫は、借財を残したまま妾宅で死亡する。<br />多加のなりふりかまわぬ金儲けが始まった。<br />金貸しの老婆に取入り、師匠たちの背中まで拭い、ライバルの寄席のお茶子頭を引抜く──。<br />大阪商人のど根性に徹した女興業師の生涯を描く直木賞受賞作。<br />