どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。<br />誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。<br />あの日、あんたに逢うまでは――初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあまし姉女郎に欲情する緑……儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。<br />江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。<br />R-18文学賞受賞作。<br />映画化!