若き徒目付の片岡直人に振られたのは、腑に落ちぬ事件にひそむ「真の動機」を探り当てることだった。<br />精勤していた老年の侍がなぜ刃傷沙汰を起こしたのか。<br />歴とした家筋の侍が堪えきれなかった積年の思いとは。<br />語るに語れぬ胸奥の鬱屈を直人が見抜くとき、男たちの「人生始末」が鮮明に照らし出される。<br />本格武家小説の名品六篇。<br />