父の国であるドイツの現実に、次第に幻滅を覚えてゆく香田。<br />ついに成立した日独伊三国軍事同盟も、彼の思い描いた祖国の進路ではなかった。<br />迫害に怯えるユダヤ人女性・ヒルデとの生活にささやかな幸福を見いだしたのも束の間、居合術をヒトラーの前で披露する機会を与えられたことをきっかけに、香田の運命は大きく狂いはじめた……。<br />清冽なヒューマニズムで貫かれた大作ロマン。<br />※『総統の防具』改題。<br />