大坂冬の陣に西上してくる徳川家康の首をねらうため、霧隠才蔵らは駿府城下に潜入し、徳川の忍者、風魔獅子王院たちと血闘をくりひろげる。<br />そして、駿府城内にしのび込んだ才蔵は、家康の寝所の天井裏に立つのだが……。<br />人間性を抹殺された忍者たちの中で、いかなる組織にも属さず、ただひとり人間らしく生きようとした才蔵の悲哀を通して、‘忍び’の世界を現代の眼で捉えた長編小説。<br />