フランス留学時代に女でしくじり、帰国後も生来のヨソ者として暮らしてきた乾ケンジロウ。<br />東京でのヒモ生活から遁走し、新潟で人生初の恋に落ち結婚するも破局。<br />富山では偶然再会した大学の女友達に、美術館で盗んだジャコメッティの彫刻を餞別に渡し、逃げるようにして故郷の呉へ――。<br />『異邦人』ムルソーを思わせる嘘つき男の、太陽と海をめぐる不条理な彷徨。<br />著者の最高到達点。<br />