二・二六事件から間もない、昭和十二年の東京・駒場。<br />前田侯爵邸の小間使として働くことになった十八歳の「わたし」は、五歳の令嬢・緑子の異変に気づく。<br />彼女は、見えるはずのない《誰か》の姿を見ている――。<br />歴史の放つ熱と、虚構が作り出す謎が、濃密に融け合う世界。<br />イギリス古典小説の味わいを合わせ持つ、至高の物語。<br /> ※単行本に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。<br />