花柳界から足を洗い、老いを意識しながらも壮年の学者に少女のような憧れを抱く正子。<br />豪華なバーや料亭を一人できりもりし、男なしではいられないという蔦代。<br />幾度か衝突し、行き来のとだえていた二人だが、恍惚の人と化した蔦代の母が正子の許に飛び込んできたことから、再び愛憎の葛藤が始まる。<br />――戦後を生きる『芝桜』の主人公たちの対照的な老境を本瓜の花の色どりの中に描く。<br />