「一度目」は戦時下の強制連行だった。<br />朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。<br />「二度目」は愛する日本女性との祖国への旅。<br />地獄を後にした二人はささやかな幸福を噛みしめたのだが……。<br />戦後半世紀を経た今、私は「三度目の海峡」を越えねばならなかった。<br />‘海峡’を渡り、強く成長する男の姿と、日韓史の深部を誠実に重ねて描く山本賞作家の本格長編。<br />