突然の喀血により結核に冒されていることを知った明石。<br />四十代の働き盛りで療養生活を余儀なくされ消沈する明石が入院先で出会ったのは、自分よりもさらに死に近い病人たちと、その儚い命の終焉だった。<br />結核がまだ致命的な病であった時代、死の淵を彷徨い絶望と虚無に陥った男の心はどこへ向かったのか。<br />生と死、信仰と救済。<br />遠藤文学を貫くすべてのテーマが凝縮された感動の長編。<br />