中卒で家出しその日暮らしを繰り返していた北町貫多は、十九歳にして心機一転を図ろうとした。<br />横浜で新しい仕事を得、片恋する相手も見つけ、人生の軌道修正も図れるかと思いきや、ほどなく激しい失意が訪れる。<br />そのとき彼の心の援軍となったのは、或る私小説家の本だった──。<br />暗い青春の軌道を描く待望の長篇私小説。<br />