社長の座を約束されている商事会社の幹部納所賢行と、美貌で優しく教養もある妻の亜紀。<br />はた目には何ひとつ不自由のない恵まれた夫婦だが、二人の間には冷え冷えとした違和感が影を落している。<br />ある日賢行は、軽井沢の深い霧の中で、長い間思いを寄せていた美沙子にめぐり会うが……。<br />メルヘンにも似た夢幻的な雰囲気の中に、男と女の織りなす愛の深淵と生の寂寥を描く。<br />