浅草は田原町で小さな古着屋を営む喜十は、北町奉行所隠密廻り同心の上遠野(かとの)のお勤めの手助けで、東奔西走する毎日。<br />店先に捨てられていた赤ん坊の捨吉を養子にした喜十の前に、捨吉のきょうだいが姿を現した。<br />上遠野は四人の子どもも引き取ってしまえと無茶を言うが……。<br />日々の暮らしの些細なことに、人生のほんとうが見えてくる。<br />はらり涙の、心やすらぐ連作人情捕物帳六編。<br />