天保12年の秋、20歳になったばかりの三太郎の乗った船はシケに会い、果てしのない漂流が始まる……。<br />世界の各地に生き、そして死んだ一族の男女5人の物語を一話ごとに異なる文体をもちいながら、作者の内からほとばしり出る詩的告白と結合させて、日本人に特有な海の彼方への激しい憧れと、その反面にある異国社会での不適応性を鮮やかに描き出した書下ろしオムニバス長編。<br />