女の胎のかわりに、体内にことばを分泌する虚無の暗闇をもって小説を書く女、これが妖女です。<br />――‘女にして作家であること’の奇怪さを追求した表題作。<br />結婚という茶番的儀式を、双生児KおよびLの濃密な近親相姦の愛のフィルターを通して描く「結婚」。<br />結婚に巣くう不貞の精神を暴く「共棲」。<br />欺瞞的現実世界にイロニイの矢をはなつ倉橋由美子の《反世界小説》三編を収める。<br />