三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。<br />図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。<br />しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。<br />正巳は性的不能者だったのだ――。<br />切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。<br />小池文学が到達した究極の恋愛小説。<br />