ふとした不始末からごろつき侍にゆすられる身となった与之助が、思いを寄せていた娘から身を引き、ごろつきを斬って切腹するまでの心の様を描いた表題作。<br />わがままで武術自慢の藩主の娘を、一介の藩士が無遠慮にこらしめる「奇縁無双」。<br />維新戦争に赴いた恋人の帰りを40年間も待つ女心を哀切に謳った「春いくたび」。<br />ほかに「一代恋娘」「友のためではない」など全13編を収める。<br />