大国の漢と匈奴とにはさまれた弱小国楼蘭は、匈奴の劫掠から逃れるために住み慣れたロブ湖畔の城邑から新しい都城に移り、漢の庇護下に入った。<br />新しい国家はぜん善と呼ばれたが、人々は自分たちの故地を忘れたことはなかった。<br />それから数百年を経て、若い武将が祖先の地を奪回しようと計ったが……。<br />西域の一オアシス国家の苛烈な運命を描く表題作など、歴史作品を中心に12編を収録。<br />