極貧の家に生れた愛川吾一は、貧しさゆえに幼くして奉公に出される。<br />やがて母親の死を期に、ただ一人上京した彼は、苦労の末、見習いを経て文選工となってゆく。<br />厳しい境遇におかれながらも純真さを失わず、経済的にも精神的にも自立した人間になろうと努力する吾一少年のひたむきな姿。<br />本書には、主人公吾一の青年期を躍動的に描いた六章を‘路傍の石・付録’として併せ収める。<br />