若い女性が袂にしのばせた梅の花の香。<br />業平や西行が深く愛した桜。<br />待ちつづけていても鳴いてくれないほととぎすの声。<br />暗闇にほのかな光をともす蛍。<br />初霞に春の到来を予感し、新緑とともに衣を更えてきた日本人が、いにしえから折にふれ愛しつづけてきた春夏の風情を、王朝時代から幕末までのさまざまな和歌を通じて楽しむ。<br />