日本のめざましい経済成長の陰に、電信電話もなく台風の被害も報道されない僻地。<br />海の荒れる時は定期便の船さえ近づけない閉ざされた南の離島、黒島。<br />スターの座を夢みながらチャンスを逃した門万里子は単身黒島へ旅立ち、自然との闘いの中でたくましく運命を切り開く人々の純朴な姿に心を打たれる――。<br />明るい筆致で、厳しい日常生活の中に人間らしさの恢復を試みた問題作。<br />