父と子。<br />男と女。<br />人は日々の営みのなかで、あるとき辻に差しかかる。<br />静かに狂っていく父親の背を見て。<br />諍いの仲裁に入って死した夫が。<br />やがて産まれてくる子も、また――。<br />日常に漂う性と業の果て、破綻へと至る際で、小説は神話を変奏する。<br />生と死、自我と時空、あらゆる境を飛び越えて、古井文学がたどり着いた、ひとつの極点。<br />濃密にして甘美な十二の連作短篇。<br /> ※当電子版では対談「詩を読む、時を眺める」は収録していません。<br />