カストルプ青年は、日常世界から隔離され病気と死に支配された‘魔の山’の療養所で、精神と本能的生命、秩序と混沌、合理と非合理などの対立する諸相を経験し、やがて‘愛と善意’のヒューマニズムを予感しながら第一次大戦に参戦してゆく。<br />思想・哲学・宗教・政治などを論じ、人間存在の根源を追究した「魔の山」は「ファウスト」「ツァラトストラ」と並ぶ二十世紀文学屈指の名作である。<br />