昭和34年、中学生になったものの、あいかわらず病弱な伸仁の身を案じていた松坂熊吾だが、駐車場の管理人を続けながら、勝負の機会を窺っていた。<br />ヨネの散骨、香根の死、雛鳩の伝染病、北への帰還事業、そして海老原の死。<br />幾つもの別離が一家に押し寄せる。<br />翌夏、伸仁は変声期に入り、熊吾は中古車販売店の開業をついに果たすが──。<br />「生」への厳粛な祈りに満ちた感動の第六部。<br />