タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。<br />だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。<br />茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。<br />五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。<br />蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。<br />男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。<br />