老齢に至って病いに捕まり、明日がわからぬその日暮らしとなった。<br />雪折れた花に背を照らされた記憶。<br />時鳥の声に亡き母の夜伽ぎが去来し、空襲の夜の邂逅がよみがえる。<br />つながれてはほどかれ、ほどかれてはつながれ、往還する時間のあわいに浮かぶ生の輝き、ひびき渡る永劫。<br />一生を照らす生涯の今を描く全8篇。<br />古井文学の集大成。<br />