九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。<br />だがそこは、‘絆’を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。<br />男尊女卑が蔓延(はびこ)り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。<br />やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。<br />憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。<br />『避難所』改題。<br />